電気工事を行うには、適切な許可や登録を取得する必要があります。特に、「建設業許可の電気工事業」と「電気工事業登録」は、混同しがちではありますが、それぞれ異なる制度であり、施工の範囲や要件が異なります。ここでは、建設業許可の電気工事業と電気工事業登録の違い、必要な資格、手続き方法などを詳しく解説します。
建設業許可の電気工事業とは?
建設業許可とは
「建設業許可」は、建設業法に基づき、一定規模以上の工事を請け負う場合に必要な許可です。電気工事業は建設業許可の29業種のうちの1つです。
建設業許可が必要なケース
電気工事を施工するにあたって、以下に該当する場合、建設業許可(電気工事業)が必要です。
- 1件の工事請負金額が500万円(税込)以上の工事
つまり、500万円未満の電気工事であれば、建設業許可は不要となります。ただし、工事を実際に施工する場合は電気工事業登録が必要になります。
建設業許可の種類
建設業許可には、請負の以下の2種類があります。
一般建設業許可
- 下請契約の金額が1件あたり500万円以上の工事を請け負う場合に必要。
- 下請として工事を行う場合は、金額制限なし。
特定建設業許可
- 元請として工事を請けて5,000万円以上を下請に出す場合に必要
- 主に大規模な電気工事を行う元請業者向け。
建設業許可の取得要件
電気工事の一般の建設業許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者がいること:建設業の経営経験が5年以上ある者などを配置する
- 専任技術者がいること:第一種電気工事士、電気工事施工管理技士などの資格を持つ技術者を営業所ごとに配置
- 財産的要件:自己資本が500万円以上あること(一般建設業許可の場合)
- 過去に法律違反や不正行為がないこと
- 欠格要件に該当しないこと
建設業許可は、「工事を請け負うための許可」であり、電気工事業の場合、「工事の施工」をするためには、建設業許可とは別の制度である電気工事業の登録を受けなければなりません。
電気工事業登録とは
電気工事業登録とは
「電気工事業登録」は、電気工事業法に基づき、電気工事を実際に施工する事業者が必要な手続きです。混同なさっている方も多いのですが、建設業許可は工事の請負に関する許可であり、電気工事業登録は施工のための登録です。500万円未満の工事でも、電気工事を施工する場合は電気工事業登録が必要となる点に注意が必要です。
電気工事業登録の種類
電気工事業登録は、施工する電気設備の種類によって2つに分かれます。
一般用電気工作物の電気工事業登録
- 対象:住宅・小規模店舗などの低圧(600V以下)の電気設備工事
- 必要資格:第二種電気工事士が従事可能
- 登録手続き:都道府県知事へ登録
自家用電気工作物の電気工事業登録
- 対象:工場・オフィスビルなどの高圧・特別高圧受電設備(6,600V以上)の工事
- 必要資格:第一種電気工事士または認定電気工事従事者が必要
- 登録手続き:都道府県知事へ登録
みなし電気工事業者とは
建設業許可(電気工事業)を取得している事業者は、電気工事業登録をしなくてもよいことになっております。これを「みなし登録電気工事業者」と呼びます。登録は不要ですが、登録するのと要件は変わらず、営業所ごとに「主任電気工事士」の配置が義務付けられています。登録と異なるのは登録手数料を払う必要がないことです。
建設業許可の電気工事業と電気工事業登録の違い
項目 | 建設業許可(電気工事業) | 電気工事業登録 |
---|---|---|
根拠法令 | 建設業法 | 電気工事業法 |
必要なケース | 500万円以上の工事を請け負う場合 | 電気工事を施工する場合 |
許可・登録機関 | 国土交通省・都道府県 | 都道府県知事 |
必要な資格 | 専任技術者(電気工事施工管理技士など) | 第一種・第二種電気工事士 |
財産要件 | 500万円以上の自己資本(一般建設業許可) | なし |
申請費用 | 9万円~15万円 | 2.2万円 |
有効期限 | 5年(更新あり) | 5年(更新あり) |
まとめ
建設業許可は工事の請負に必要、電気工事業登録は施工のために必要となります。工事を請け負うための制度なのか、施工するための制度なのかの違いがあります。そのため、500万円未満の工事でも、施工を行う場合は電気工事業登録が必須となります。
また、建設業許可を取得している場合は、電気工事業の登録ではなく、みなし登録という制度を活用します。みなし登録は登録と同じ要件ですが登録手数料の支払いや5年の更新が不要となります。