令和5年7月1日より建設業許可の要件である専任技術者の要件が緩和されました。今までの要件に加えて、技術検定の1次試験合格者が指定学科卒業と同等として扱われるようになりました。

技術検定合格者の実務経験要件

技術検定合格者を指定学科卒業者と同等として扱うことにより、1級1次試験合格者を大学指定学科卒業と同等みなし、2級1次試験合格者は高校指定学科卒業者と同等とみなすことになりました。1次試験の合格でみなされるので、施工管理技士ではなく、技士補で指定学科卒業とみなされます。

どの技術検定種目がどの指定学科卒業となるのかは以下の通りです。

技術検定種目 同等とみなす指定学科
土木施工管理、造園施工管理 土木工学
建築施工管理 建築学
電気工事施工管理 電気工学
管工事施工管理 機械工学

※指定建設業と電気通信工事業は除く

1級1次試験合格者は大学指定学科卒業と同等なので合格後3年の実務経験で要件を満たします。2級1次試験の合格者は高校卒業と同等とみなされるので合格後5年の実務経験で要件を満たせることになります。

今までの営業所専任技術者の要件

これまで営業所専任技術者の要件は特定の国家資格者等、指定学科卒業+実務経験、実務経験者とされてきました。指定学科卒業者の必要な実務経験の期間は以下の通りとなります。

学歴(指定学科卒業) 実務経験
大学、短大、高等専門学校 卒業後3年
高等学校、中等教育学校、専修学校(※専門士、高度専門士は3年) 卒業後5年
上記以外 10年

大学、短大などの指定学科を卒業していれば実務経験は5年、高校や専修学校であれば3年、それ以外は10年必要となっていました。ここに技術検定合格者の要件が加わったことになります。

指定学科とは

指定学科とは専任技術者になろうとする建設業許可業種に関連する科目のことです。土木工学、建築学、都市工学、電気工学、電気通信工学、機械工学、衛生工学、交通工学、林学、鉱山学に分類されております。

各学部学科を卒業することで実務経験が3年や5年に短縮されます。どの学科がどの建設業の業種に対応しているかは以下の表を参考にしてください。

学科 建設業
土木工学 土、左、と、石、屋、管、タ、鋼、筋、舗、しゅ、塗、防、絶、園、井、水、清、解
建築学 建、大、左、と、石、屋、管、タ、鋼、筋、板、ガ、塗、防、内、機、絶、園、具、水、消、清、解
都市工学 土、建、大、管、舗、ガ、内、園、水、清
電気工学 電、機、通、消
電気通信工学 電、通
機械工学 管、鋼、筋、しゅ、板、機、絶、井、具、水、消、清
衛生工学 土、管、舗、井、水、清
交通工学 土、舗、
林学
鉱山学

緩和により想定できるケース

例えば、土木の1級施工管理技士の場合、実務経験なしで、土木、とび・土工、石、鋼構造物、舗装、しゅんせつ、塗装、水道施設、解体の専任技術者になることができますが、さらに実務経験があれば、左官、屋根、タイル、鉄筋、防水、熱絶縁、削井、清掃設備の専任技術者になることが可能です。

また、該当する国家資格等が少ない機械器具設置についても、建築施工管理、電気施工管理、管工事施工管理プラス実務経験で専任技術者になることが可能となりました。

主任技術者や監理技術者(指定建設業以外)といった配置技術者になることもできるので現場の技術者としての幅も広がります

2021年以降に制度ができた技士補でも実務経験を積めば専任技術者や配置技術者になることができるので、専任技術者の要件緩和としてはかなりの効果が期待できるのではないでしょうか。

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