専従者というのは個人事業主と世帯を供にしている方で、個人事業主の事業に携わっている方のことです。一般的には妻や子が専従者となっていることが多いです。確定申告書に専従者を記載する欄があり、そこに名前が記載されていると専従者ということになります。建設業では専従者は事業主を補佐した経験(準ずる地位)として扱われており、6年間専従者として働いていれば、経営業務の管理責任者としての要件を満たす、というのが一般的です。

単純に確定申告書を提示して6年間専従者でしたということが証明できれば、経営業務の管理責任者と認めてくれるという自治体もあります。しかし、東京都は一筋縄ではいきません。場合によっては認定申請をしなければいけなくなってきます。

ポイントは事業の継続性

ここで、個人事業主の専従者が経営業務の管理責任者になるケースを考えてみます。以下の3つのパターンがあります。

  1. 個人事業主から世代交代で事業を承継するケース
  2. 個人事業主から独立して自分で事業を立ち上げるケース
  3. 個人事業主が死亡し、事業を承継するケース

各ケースごとに認定が必要になるのかどうか見ていきます。

個人事業主から世代交代で事業を承継するケース

父が高齢になったので子が事業を承継するという場合などです。この場合、生存している父から子が事業を承継するので事業が途切れず継続することになります。この場合は、認定申請は不要です。東京都でも確定申告書に専従者として記載されていれば、経営業務の管理責任者として認められます。

個人事業主から独立して自分で事業を立ち上げるケース

父のもとで修行していた子がひとり立ちするような場合です。この場合、父の事業はそのまま継続し、子が新たに事業を立ち上げることになります。事業が継続しているわけではありませんので、認定を受けなければならなくなります。

個人事業主が死亡し、事業を承継するケース

ともに事業をしていた父が亡くなり、妻や子が事業を承継する場合などです。この場合、事業主の父が死亡した時点で事業はいったん終了し、承継した妻や子が新たに事業を立ち上げるという判断になるようです。つまり、事業は継続しないので認定申請が必要ということになります。

認定申請に必要な書類は?

認定申請に必要になる書類は概ね以下の通りです。これがあればいいと決められているわけではないので、他に書類を求められるケースもあるかもしれません。

  • 確定申告書(専従者欄に名前が載っていることや売上がきちんと計上されていることなどを確認)
  • 工事経歴書(毎年、許可を受けようとする業種の工事を請負っているかを確認)
  • 経営業務管理責任者の補佐証明書(任意の様式で発注者、元請、仕入先などが該当する人が経営業務の管理責任者になる資格があると証明した書類)

認定はどのように行われるの?

頻度はわかりませんが(たぶん月に1度)認定会議というのが開かれ、そこで個別の案件ごとに審議されて認定されるかどうかが決まるようです。認定を受けることができれば、正規の申請をすることが可能となります。

個人的な見解

継続性という部分で線を引くと確かにそうなんだろうと、一応は腑に落ちているのですが、上記の1と3のケースは同じ扱いにするべきではないだろうかと思っております。

事業主が生きていれば確定申告書だけで経営業務の管理責任者になれるのに、死亡したら認定申請っていうのはいかがなものかと。認定申請を出すのはハードルが高く、時間もかかります。通常の申請に比べると明らかに手間がかかります。ましてや事業主の死亡にともなう相続の手続きなどもある中で準備をしなければなりません。残された方々を救済するという観点からも1と同じ扱いでいいのではないでしょうか。


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