元請として工事を請負う場合と下請で工事を請負う場合で異なってきます

一般建設業許可で請け負うことのできる工事の金額については、元請として工事を請負う場合と下請で工事を請負う場合で異なります。一般建設業者が「元請」で工事を請負う場合、下請に出す工事の金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)になるような場合は請け負うことができません。下請けに出す金額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円以上)になるような場合は特定建設業許可が必要になるからです。

一般建設業許可で「下請」で工事を請負う場合は、金額に制限はありません。いくらの工事であっても請け負うことが可能となります。1次下請けでも2次下請けでも同様です。下請けに出す金額の合計という考え方なので、すべての工事を自社だけで施工するという業者であれば、工事の金額にかかわらず一般許可で請け負うことが可能となります。

特定建設業許可が必要になる具体例

元請として工事を請けて、下請けに出す金額がいくらになるかで一般許可と特定許可に分かれるというのがなかなか分かりにくいのでいくつか例を挙げます。

一般の内装仕上げ工事の許可業者が元請で5,000万円の工事を請負う場合

この場合、500万円以上の部分を自社で施工すれば、下請けに出す金額は4,500万円以上にならないので請け負うことが可能です。自社施工部分の金額が500万円未満になってしまうと、下請け業者に出す金額が4,500万円を以上となってしまうので請け負うことができなくなります。特定建設業の許可業者でなければ請け負うことができなくなってしまうのです。

複数の下請けに工事を出す場合は、下請けに出す金額は合算して計算します。5,000万円の工事を元請として請負って、下請A社に2,500万円出し、下請B社に2,000万円出すとすると、下請けに出す合計金額が4,500万円となってしまうので、一般許可では請け負うことができません。

一般の機械器具設置工事の許可業者が元請で1億円(機械代込み)で工事を請負う場合

機械器具設置工事の場合はどうでしょうか?機械器具設置工事の場合は機械の金額が高額になることが多いので契約の代金が大きくても、施工の金額が小さいことが多く、下請業者に出す工事の金額は少額になることが多いです。

総額1億円で元請で受注したとしても、下請に出す工事の代金が4,500万円未満の場合は特定建設業許可は不要です。機械器具設置工事の場合は、1億円で受注しても機械代金が7,000万円とか8,000万円というケースも目にするので、そういう場合は一般許可で施工が可能です。

材料費の考え方

元請業者が材料を提供して、下請け業者が工事を行うというケースもあると思います。この場合の材料費が請負金額に加えられるかどうかという点ですが、特定許可が必要かどうかの判断の場合は、元請が提供する材料費は考慮しないことになってます。単純に請負契約の金額で判断すればいいわけです。

一般許可の内装工事業者が5,000万円の工事を請負い、下請に3,000万円の工事を出し、1,500万円の材料を提供したとしても、特定許可が必要にはならないのです。

混同しやすいケースに建設業許可が必要な500万円以上の請負金額があります。500万円以上の工事を請負う場合は一般、特定にかかわらず建設業許可が必要になるのですが、この500万円には元請業者から提供されるような材料費は含みます。わかりにくいので注意が必要ですね。

特定許可の意義

特定建設業許可は下請負人の保護などのために設けられている制度です。取得するには1級技術者や指導監督的実務経験を有する専任技術者を配置するだけでなく、資産面でも資本金2,000万円、純資産4,000万円、欠損比率20%以下、流動比率75%以上などの厳しい要件を満たしていなければなりません。資金の乏しい業者が高額の工事の元請けになった場合、万が一のことが起こったら、下請業者も連鎖倒産してしまう可能性が出てきます。元請として工事を請けて、下請に出す金額で制限をしているというのはこうした理由があるのです。

下請に出すことのできる金額は令和5年1月1日に改正されています

当記事は金額を修正しておりますが、以前は、下請に出す工事の金額の合計が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)になるような場合に特定許可が必要とされていました。令和5年1月1日に条件が緩和され、現在の、下請に出す工事の金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)になるような場合となっています。

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